制作・引き渡し
採用サイトで何をCMS化するか|更新範囲の決め方
採用サイトの求人、社員紹介、インタビュー、FAQ、会社・仕事・制度を、変更のきっかけ、担当、承認、検証、参照関係、状態、表示自由度からCMS・固定ページ・制作者対応へ分けます。

採用サイトのCMS化範囲は、「更新頻度が高そうだから」という理由だけでは決められません。変更が起きる条件、更新する人、公開を承認する人、入力時に検査したい項目、項目間の参照関係、募集終了等の状態、必要な表示自由度まで見て決めます。
受注から公開・引き渡しまでの全体順を先に整理したい場合は、WordPress採用サイトの制作・引き渡しチェックリストを参照してください。この記事では、その中の「顧客が更新する範囲」を一段深く掘り下げます。
結論:CMS化する範囲は「更新頻度」だけで決めない
最初に、採用サイトの情報を次の3つへ分けます。
- 定型CMSで顧客が更新するもの:同じ単位の情報を繰り返し追加・変更し、入力検証や公開状態の管理が必要なもの
- 固定ページとして更新するもの:ページ単位で意味とレイアウトを保ち、必要時に文章や画像を直すもの
- 制作者対応に残すもの:項目定義、テンプレート、デザイン、外部連携等、変更の影響がサイト構造へ及ぶもの
ここでいう「定型CMS化」は、WordPressに保存すること全般ではありません。専用の入力項目、一覧、状態、参照、検証等を用意し、担当者が決められた手順で運用できるようにすることを指します。固定ページもWordPress上で編集できますが、毎日の運用対象として専用データ化するかは別の判断です。
「全部CMS化」とすると、管理画面、検証、権限、移行、テスト、マニュアルの対象まで増えます。反対に固定しすぎると、募集を終了するたびに制作者対応が必要になります。大切なのは、編集できる箇所の数ではなく、運用を最後まで成立させることです。
先に確認する7つの判断軸
ページ名から決めず、情報の更新単位ごとに次の7点を確認します。
| 判断軸 | 確認すること | CMS化へ寄る条件 |
|---|---|---|
| 変更のきっかけ | 新規募集、異動、制度改定等、何をきっかけに変わるか | きっかけと変更手順を定型化できる |
| 頻度・件数 | 何件を、どの期間で追加・更新するか | 同じ単位が繰り返し増減する |
| 更新責任者 | 正式情報を持ち、入力する担当者は誰か | 継続して担当できる責任者がいる |
| 公開承認 | 誰が内容を確認し、公開を決めるか | 入力と承認の流れを決められる |
| 入力検証 | 必須、条件付き必須、日付、URL等をどこまで検査するか | 公開前に機械検査したい項目が多い |
| 参照・状態 | 他項目から参照されるか、終了・非公開等があるか | 関係や状態を複数の表示へ連動させたい |
| 表示自由度 | 同じ型で表示できるか、毎回構成を変えるか | 一覧・詳細等の共通型を維持できる |
7項目のうち一つだけで決めません。たとえば年1回しか変わらない会社名でも、求人全件で共通利用するなら、一つの共通設定から参照する価値があります。逆に毎月追加する特集でも、毎回構成が大きく変わり、編集者が自由な誌面を必要とするなら、定型データへ細分化しすぎない方が扱いやすいことがあります。
更新責任者が決まっていない情報をCMS化しても、更新は続きません。入力画面を作る前に、「誰が正しい情報を持つか」「誰が公開を止められるか」を決めます。
採用サイトの情報を更新単位で分ける
「採用ページ」という大きな単位ではなく、変更理由が同じ情報を一つの単位として棚卸しします。
- 求人は、募集開始、条件変更、応募停止、募集終了で変わる
- 社員紹介は、異動、役職変更、公開許可の変更で変わる
- インタビューは、企画、取材、校正、公開終了で変わる
- FAQは、問い合わせの増加、応募方法、選考手順の変更で変わる
- 会社・事業情報は、正式情報や組織の変更で変わる
- 仕事紹介は、部門や職種の再編で変わる
- 福利厚生・制度は、制度改定や適用条件の変更で変わる
同じページに表示する情報でも、変更のきっかけが異なれば保存・承認単位を分けます。会社情報を求人ごとに再入力したり、一人の社員プロフィールを複数のインタビューへコピーしたりすると、変更時に差が生じやすくなります。
一方、再利用の可能性だけを理由に細かく分割するのも避けます。別々に更新する担当者がおらず、参照先もなく、ページ全体で承認する情報なら、固定ページのまとまりを保つ方が確認しやすくなります。
求人・社員・インタビュー・固定情報の判断表
次の表は初期案です。案件の件数、運用体制、必要な表示に合わせて変えます。
| 対象 | 主な変更のきっかけ | 特に管理したいこと | 第一候補 | 制作者対応へ戻す条件 |
|---|---|---|---|---|
| 求人 | 新規募集、条件変更、応募停止、終了 | 必須条件、応募先、公開・終了状態、一覧との連動 | 定型CMS | 項目追加、状態設計、応募先連携、テンプレート変更 |
| 社員紹介 | 入社、異動、役職・公開許可の変更 | 本人・社内確認、複数ページからの参照、非公開時の扱い | 件数と再利用があるなら定型CMS。少数なら固定ページ | 項目構成、参照規則、カード表示の変更 |
| インタビュー | 企画、取材、校正、公開終了 | 対象社員との関係、一覧用情報、本文の編集自由度 | 共通プロフィールはCMS、本文はブロック編集の併用 | 質問構成や誌面を大きく変える企画 |
| FAQ | 問い合わせ増加、手順・方針変更 | 質問と回答の責任者、並び順、古い回答の確認 | 少数なら固定ページ。反復追加や分類が必要ならCMS | 回答責任の変更、検索・分類・表示仕様の追加 |
| 会社・事業 | 正式情報、事業、組織の変更 | 正式名称等の共通値、社内承認、ページ全体の文脈 | 共通値は一元管理、説明は固定ページ | 構成、ブランド表現、複数ページへの反映方法の変更 |
| 仕事紹介 | 部門、職種、仕事内容の変更 | 求人との関係、部門別の更新責任者、一覧化の必要性 | 少数なら固定ページ。繰り返し単位が明確ならCMS | 職種体系、関連付け、比較表示の変更 |
| 福利厚生・制度 | 制度改定、対象・条件の変更 | 適用条件、施行日、正式承認、旧情報の停止 | 少数なら固定ページ。件数と改定が多ければCMS | 法務・労務確認、表示形式、履歴要件の変更 |
| 選考フロー | 選考段階、期間、連絡方法の変更 | 共通手順と求人別例外、公開承認 | 共通は固定ページ、例外は求人側の限定項目 | 分岐増加、外部サービス連携、進行管理機能の追加 |
求人は定型CMSへ向きやすい一方、会社・制度ページまで必ず専用データにする必要はありません。FAQも、10件程度を一つのページで管理する段階と、担当部署・分類・公開期間を持つ多数のFAQを管理する段階では設計が変わります。
「将来増えるかもしれない」だけで仕組みを先行させず、増えた時にどの変更が必要になるかを見積りへ残します。
更新担当・公開担当・技術保守担当を分ける
CMS化する対象を決めるときは、次の3役を混同しないようにします。
| 役割 | 主な責任 | 代替しないもの |
|---|---|---|
| 更新担当 | 正式情報を集め、下書きへ入力する | 公開可否の最終判断 |
| 公開担当 | 内容、許可、条件を確認し、公開・終了を決める | テンプレートや検証規則の改修 |
| 技術保守担当 | WordPress、テンプレート、入力項目、検証、連携、復旧を管理する | 会社・求人情報の正しさの判断 |
一人が複数の役割を持っても構いません。ただし、見積りや引き渡しでは役割ごとに名前を記録します。
更新担当・公開担当・技術保守担当へ実際のWordPress操作を割り当てるときは、WordPress採用サイトの権限設計|顧客に渡す操作の決め方を参照してください。
顧客更新へ渡しやすいのは、用意された項目への入力、下書き、プレビュー、公開・終了、並び順等です。項目の追加、入力規則の変更、ページ構造、Navigation、テンプレート、外部フォーム連携、権限、障害復旧は、影響範囲を確認できる制作者または技術保守担当へ残します。
CMSがあること自体は、安全、低コスト、誰でも更新可能であることを意味しません。担当者が使う実際のアカウントで、入力から公開・終了まで試して初めて、引き渡せる範囲を確認できます。
管理画面を作る前に受け入れ条件を決める
実装前に、少なくとも次の結果を合意します。
- 不完全な内容を下書き保存でき、公開に足りない項目が分かる
- 条件付き項目、日付、URL、数値等の誤りを公開前に検出できる
- 公開済み情報から必須項目を消す場合の挙動が決まっている
- 参照先を非公開・削除したとき、参照元を連鎖削除せず安全に扱える
- 募集終了等の状態が、一覧、詳細、応募導線へ矛盾なく反映される
- 0件、画像なし、長い文章でも公開画面が壊れない
- 更新担当が通常作業を完了でき、構造変更は技術保守担当へ戻せる
- PCとスマートフォン、ログアウト状態で結果を確認できる
検査をシステムへ実装しない項目は、人の公開チェックへ明示的に残します。「入力欄があるから確認できる」とは扱いません。
WordPress標準と2GU固有の仕様を分けて見る
WordPress標準で決まっていること
WordPressにはpostやpage等の投稿タイプがあり、独自のCustom Post Typeも追加できます。公式資料では、postは時系列やcategory・tag・feedを持つ用途、pageは非時系列・階層的な用途として説明されています。また、Custom Post Typeはtheme変更時のcontent portabilityを保つため、themeではなくpluginに置くことが推奨されています。詳しくはWordPress公式のPost Types解説を確認してください。
WordPressにはroleとcapabilityの仕組みもあり、利用者が実行できる作業を分けられます。ただし、WordPress標準が「求人はCPT、会社情報は固定ページ」と決めているわけではありません。採用サイトの更新単位、公開承認、検証、状態は案件側で設計します。
2GUではどう分けているか
2GUは一例として、採用基本設定を1サイトに1件、求人、社員、インタビューをそれぞれ複数件の構造化された情報として扱います。求人は公開・募集終了等の状態と公開条件を持ち、社員プロフィールは複数箇所で再利用でき、インタビューは対象社員を参照します。
採用トップと募集一覧を基礎に、会社・事業、仕事、社員インタビュー一覧、数字、福利厚生・制度、選考、FAQ等は、案件に必要な固定ページだけを選びます。固定ページ本文まで過度に項目化せず、求人・社員・インタビュー等の反復データを必要な箇所へ表示します。
2GUでは、採用担当者に相当する編集者が求人、社員、インタビューを扱い、採用基本設定、セットアップ、ライセンス等は管理者へ分けています。生成ページの編集保護は日常更新時の誤操作を抑えるUI上の仕組みであり、アクセス制御やバックアップの代わりではありません。
これは唯一の正解ではありません。求人件数、社内承認、外部システム、表現要件が違えば、固定ページや別の情報設計が適する案件もあります。製造業とITの架空企業デモでは、共通するデータ構造と案件ごとに変えたページ・表現を比較できます。実際の操作範囲は公開マニュアルで確認できます。
見積り・提案へ残す決定事項
CMS化範囲を決めたら、見積りと提案へ次を残します。
- 定型CMS、固定ページ、制作者対応へ分けた対象一覧
- 情報ごとの変更のきっかけ、更新担当、公開担当、技術保守担当
- 必須項目、条件付き項目、人が確認する項目
- 下書き、公開、終了、非公開、参照切れの扱い
- 一覧、詳細、関連表示、0件時表示の範囲
- 顧客アカウントで行う公開前テスト
- 項目・状態・テンプレート・連携を変更するときの追加作業
この記録があれば、「CMS対応一式」という曖昧な見積りを避け、どこまでを顧客が運用でき、どこからを制作者へ戻すかを説明できます。
一般判断の結果が2GUの分け方に近い場合は、2GUの内容と料金・提供条件で案件への適合を確認してください。先に商品へ合わせるのではなく、必要な更新範囲を決めてから照合する順序が重要です。